SES事業が儲かるって聞いたんで仕組みを分かりやすく解説するよ

この間、TwitterとかでSES事業をやってる企業の売上の話が少し話題になっていたんですが、それに反応してる人が意外と仕組みを知らなくて、なんで儲かってるんだろーみたいな感じだったのでちょっとSES事業のビジネスモデルについて解説してみようと思った次第です。

ちなみに数年前からサイト運営しといて今更感が満載なんですが、サイト運営者やSES事業についてはSES営業とはのところから把握しておいてもらえるとありがたいです。ざっくりいうと、僕自身はSES事業で2回起業しててなんだかんだ10年くらい業界に携わってるので無駄に詳しくなってしまったという感じです。

今回の記事は経営者層とかビジネスを立ち上げたい人向けの内容になっているので、営業とは少し離れた目線で書き綴ってみました。

SES事業のビジネスモデルについて

これ実は僕が2011年に作った資料から引っ張ってきたんですが、ビジネスモデルとして全然変わってないんですよね。。ちなみに数字についてはイメージしやすいようにざっくり計算になってます。

外部パートナーやフリーランス(個人事業主)と協業するスキーム①について

ここ最近フリーランスが増えてきて脚光を浴びつつあるフローなんですが、SES業界だとパートナー営業とも呼ばれ自社の社員じゃない他社のエンジニアやフリーランスエンジニアに顧客先へ常駐してもらい、顧客からは毎月人月で予算を頂き支払う費用を外注費として計上します。図のケースでは1契約で毎月60万円の売上が立ち、55万円の外注費がかかるので、営業利益として毎月5万円のストック収入が入る形になります。

自社社員を常駐させた場合のスキーム②について

古くからSES事業をメインでやっている会社はこっちのフローがオーソドックスなパターンになりますが、自社で採用したエンジニアを顧客先に常駐させて、毎月人月で顧客から予算を頂きます。この場合、売上はスキーム①と同様に1契約で毎月60万円ですが、支出としてエンジニア社員の人件費と交通費、社会保険や雇用保険など法定福利費を実質的に営業原価として計算し、図のように会社負担総額が40万円だとすると残りの20万円が営業利益になります。

SESは事業計画がめちゃくちゃ作りやすい

まず売上については単純に平均単価×稼働人数となるため、単価60万円で月に20人稼働させればそれだけで毎月1200万円の売上になります。事業計画表を作るときは列を自社社員(プロパー)とパートナーに分けて、月ごとに平均単価と稼働人数、あとは原価率(プロパーの場合は会社負担総額、パートナーの場合は外注費)の%を指定するだけで売上と利益の目標値を設定することができます。

それ以外にかかる費用としては、オフィス賃料、営業人件費、採用広告費、通信費、消耗品費などなど細かいところまでありますが、基本的には客先常駐なのでオフィスの広さも内勤が数名仕事ができるくらいの必要最低限に抑えつつ、営業人件費や付随するコストについては売上計画に一定比率を掛けて変動費として計算すると良いでしょう。

初年度で年商1億円を狙いたいのであれば、平均単価60万円として考えると12ヶ月で約167人月必要なので、あとは成長曲線に合わせて各月に必要な稼働人数を割り振っていくとそれが事業計画表になります。本当はtableタグで頑張ってサイト上に事業計画表を作ろうかと思ったんですが、めんどくさすぎて挫折しました。。事業計画表の作成自体は簡単なので、気が向いたらGoogleスプレッドシートで作って外部共有するかもしれないっす。

それでSES事業は実際のところ儲かるの?

結論から言ってしまうとやり方を間違えなければ儲かります。ビジネスモデル的にはBtoBの労働集約型なので、BtoCのビジネスに見られるような急激な成長は見込めませんが、積み上げ式の安定的な継続成長モデルを作ることはできます。自分の経験則だと経常利益で3〜8%くらいの利益率で着地することが多かったですね。これを儲かると言って良いのかどうかは正直微妙なところですが、利益は出せるよねと。

スタートから5カ年計画で数億円規模の売上を作ることができて、尚且つ安定的な成長モデルが作りやすいというのが僕のSESビジネスに対するイメージです。事業の柱がもう1本欲しいという企業さんから相談を受けてSESの事業計画を何度か作ったことがありますが、先にこういう絵を見せてどれくらいの予算を投資するべきかみたいな議論をします。

本業でかなり利益を出されてる会社さんなんかだと「売上が立ちやすいのは分かるけど、SESって思ったよりも儲からないんだね」って言われることが多かったですね。その後ちゃんとリスクについても説明するので、最初の段階で利益率についてこんな反応が帰ってきたときは大体が参入しないパターンです。今なんかだと新規事業として数年かけて立ち上げるよりも、M&AしてSES会社買っちゃった方が数億の売上がすぐについて早いんじゃないすかねって言っちゃいますけど。

ビジネスモデルの事業リスクは人件費

SES事業をプロパーのみでやるとした場合、70〜80%程度になるであろう原価の部分はほとんど人件費になるんですよね。仮に事業が途中で傾き始めてコスト削減をしなければ会社が倒産してしまう!となった時に、人件費以外の削れるコストが少なくて頑張って切り詰めたとしてもP/Lへの改善が微々たるものになってしまいます。

では多くの割合を占める人件費を削減しようとなったとして、単純に給与を下げたらエンジニアはみんな辞めちゃいますよね。自社へのロイヤリティも客先常駐してしまっていることを考えると、高くはないはずです。エンジニアが辞めると当然売上に直撃してさらに利益も下がるので、八方塞がりになります。また、リストラを考えたとしても日本の法律では従業員を簡単には辞めさせることができないので、人件費を削るというのがどれくらい難しいことなのかが容易に想像できるかと思います。

その反面、外注費というのは比較的に削りやすく社員のように雇用契約ではないので、昨今はフリーランスエンジニアと契約して常駐してもらったり、パートナー比率が高いSES企業が増えているのはこういった背景があるのではないかと思います。フリーランスについては原価率を90〜95%に設定したとしても、キャッシュフローは痛まないですし案件の契約期間とも連動するのでリスクを最小限に抑えられる仕組みなんですよね。エンドユーザーから高単価が取れてて20%くらい利益取ってたりするところなんかは、だいぶ儲かってるんだろうなぁと推測できます。

最後にざっくりまとめ

今回の記事はあくまでも僕の経験則による主観なので、当然全てのSES企業には当てはまりません。感覚値として数億円規模の売上であればそんなに難しくないけれど、年商10億円くらいに1つ壁があってそこを超えると会社制度とか人事制度なんかをきっちりやり始める必要性が出てきます。でも、給与テーブルなんかを下手にいじっちゃうと人件費率が高いビジネスなので、そのくらいの規模でも急に死にかけるなんてこともあり得ます。

あとは年商で30億〜50億円規模が見えてくるとIPOを意識し始めて、上場準備室とか作るんだけど内部がぐちゃぐちゃになって古参社員がどんどん辞めてくとかはSES企業あるあるですね。売上や利益の規模に対して社員数が多くなってしまう構造なので、色々なところで人の問題は発生しちゃうのかなと。

SESは年商2〜3億円くらいの規模で安定して利益を出し続けて経営するのが1番良いのかもね、なんてことを経営者仲間と話したりしてましたが、「安定」とか「現状維持」ってフレーズは経営者が嫌う言葉だったりするので、なにごとも理想通りにはいかないよなぁと思う今日この頃でした。

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ABOUTこの記事をかいた人

SES営業の10年選手です。SESでの起業経験あり。人事、法務、労務、経理、総務、マネジメント、マーケティング、WEB/アプリ開発、と守備範囲は広いですが程よく適当です。PokemonGO頑張ってます。